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sometime,somewhere...
Posted by - 2017.10.24,Tue
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Posted by sammy - 2010.02.22,Mon
2月9日夜、成田からシンガポールを経て着いた先はインドの南、コーチンだった。
僕の旅はここコーチンから南に下ってバックウォーター、そしてインド亜大陸最南端に位置するカニャークマリで折り返し、最後はコヴァーラム・ビーチでくつろいだ後、トリヴァンドラムから再びシンガポール経由で帰る。綿密に、練りに練った旅のスケジュールを立てていた。

ところが到着翌日、カメラを取り出し手始めに1枚写そうとすると…写らない!
スローにシャッターが落ち、液晶には「Err20」というエラー表示が出るのみ。
「電源のON、OFFもしくはバッテリーを入れなおしてください」とも表示されているからその通り指示に従っても、最初の1枚だけ写せて2枚目以降はエラー表示が出るのみだったり、全く最初からシャッターを落とせずにエラー表示が出るだけだったり、らちがあかない。

原因をつかもうと近くのインターネット屋を探して調べるも、そこの店では全てのPCで日本語表示が不能。
しかし、僕にもツキはあった。
偶然にも狭い店内で話しかけた西洋人が「ニホンジンデスカ?」と日本語で返してきた。
彼の名はミシェル。
日本に2年間滞在経験のあるフランス人だった。

僕から事情を聞いたミシェルの尽力でキャノンの連絡先を調べて電話をしてもらい、このコーチンにも修理を受け付けるサービスセンターがあること、そして修理をするならばバンガロールまで行けば修理センターがあることが分かった。
優しい顔立ちのミシェルは「私も日本に行った時に困って日本人に助けてもらった」ことを引き合いに出して、僕のカメラが直るように付き合ってくれた。
英語が堪能ではない僕にとって、彼の親身になる手助けは何よりも心強かったが、写らない原因である「Err20」を解明するにはやはり、バンガロールにある修理センターまで行かなければ無理だということになった。

僕の旅の日程を考えれば明日1日、もしくは明後日までに直してもらって再びコーチンまで戻れれば、旅自体は可能だったがもし、直らなかった場合のことを考えると、このままインドの旅を続ける気持ちにはなれなかった。
インドはやはり、強烈な印象を受ける国であり、その強烈に惹かれて僕もこの地へやって来たわけで、その大きな目的は強烈を写し出したい事だった。
だから、写せないと分かった後も「アッ!」と琴線にふれるシャッター・チャンスは何度もあったし、その都度悔しい思いもした。
この悔しい思いを続けるには辛いという判断があったからだ。
そして、「最悪…」と興醒めた瞬間浮かんだ先に、ある行き先のことも考えていた。
酷な旅を続けるよりは、旅慣れた場所へ行けば自ずとカメラの用途は減る。
そう思った時、真っ先に浮かんだのはバンコクだった。
居心地のいいバンコクでいつか、滞在型の旅をしたい。
そんな願望はあったが実際にはトランジットを兼ねた短い滞在がほとんどで、いつも慌しさが先にあったから浮かんだのかもしれない。
旅の方向も国も違う旅に切り替えるのか?
気持ちは相当に落ち込んではいたが下を向かない代わりに、僕はそんな問答をカメラの復活に結論を委ねる形で繰り返し始めていた。

* * *

バンガロールへはその日の夜のフライトで飛び、紹介されたブリゲード・ロードにあるキャノン修理センターに近いホテルを到着後の空港で探し、翌10日は朝一番でカメラを修理に持ち込んだ。
当初は「昼11時くらいまでに直る」という見解だった。
だから、待ち時間を利用して再びコーチンまで戻る航空券の手配なども済ませたが、受け渡し時間は先延ばしにされるばかりで中々進まない。
最終的には午後3時までと言われて一旦、昼食を取りに外出もし、ホテルへも戻って荷造りも済ませた後、キャノンへ戻ったが、そこでの最終見解は「intermittently=断続的に、間欠的に」と言う曖昧な回答でカメラは完全には直っておらず、時々写せて時々写せない時があると言うことだった。
要は、原因をつかめないこともあって完全に直すには1,2日では無理だと言うことで、修理代金も「持ち込み代の221ルピーだけ請求させていただく」と言う結論だった。

キャノンの見解どおり、引き渡された最初の時、試しにシャッターを切ると再びエラーだった。
期待は持たせてもらったが、「もういいや…」と言うあきらめの気持ちもすぐに整理はでき、一旦カメラを預けたまま再度近くにある旅行代理店へ出向き、払い戻し不可を承知の上、コーチンまでの航空券をキャンセルし、あらためてインド出国となるこの晩のバンコク行き片道航空券をその場で購入した。

思えば僕は、インドに呼ばれていなかったんじゃないかと思う。
皮肉なことに「intermittently」と判断されたカメラは航空券を買いなおして修理センターへ受け取りに戻ると、今度は一転、「カシャッ」とシャッターが切れた。
だから、ホテルまでのわずかな途上でも数枚、シャッターを切ることは出来たが、ホテルへ戻ってからは再びシャッターが落ちない状態になっていた。
実に気まぐれゆえに、真剣に考えてしまえばこの上なく苛立つが、もうその時は気持ちの整理はできていた。


IMG_5303.JPG


結果論で言えば、その後は1度もエラー表示が出なかった。
しかし、それはあくまで結果論であって、この旅の過程では「intermittently」だったわけだから判断はお預けにしよう。
少なくとも、突然の旅の変更はドラマに似たスリルもあり、予期せぬ旅は旅本来の楽しさも伴い、さらには開き直った僕は旅慣れたバンコクで力の抜けた脱力感のある日々を謳歌する。
そして、本来はなかったはずの様々な出会いがあるから、旅は楽しい。

災い転じて福となったかどうなのか、少なくともカメラの不具合は僕の旅を変えた。
これも旅なんだと思ってしまえば上を向けるが、少しだけ覗いてしまったインドへの未練は十二分にある。
僕はいつか、南インドの旅をやり直すつもりでいる。
ミシェルが僕に話してくれた、「バックウォーターは色が違う」景色を僕の色で撮ってみたい。
もちろん、その時は「インドに呼ばれる男」でありたいと願う。
いつの日か…。
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Comments
>ぴおさん

ねぎらいのお言葉、ありがとうございます(笑)。

結果的にはこういうことになってしまいましたけど人間の本性って、何かに直面した時こそ素直に如実に表れると思うんですよ。
僕は1999年に初めてインドへ行った時に盗難被害に遭っていて、カメラもフィルムも無くした経験があります。
だから今回もその時思ったことが生きたというか、悔しい思いの旅を続けるよりも、幸いにして体も元気、スケジュールも残っているのならば場所も趣向も変えて気分一新楽しもうという気持ちにはすぐになれましたね。
仰るとおり、インドは汚くもあり美しい国です。
ただ…、なかなか上手く呼んでもいただけない国みたいなので、今度は呼んでいただけるような形で旅に出たいです!
Posted by サミー - URL 2010.03.08,Mon 21:07:42 / Edit
こんばんは。
出遅れましたが、これはかなり意外な展開...。
ここでインドをあきらめる、という決断、なかなかできるものではないと思いますが、サミーさんの場合、写真への思い入れが違いますもんね。
インドはその場にいると実にキタナイ国ですが、独特の色使いや造形の美しさは、やはり”心に記録”とか言ってられないレベルですしね。

私は旅先でカメラをなくしたとき、一瞬「これで”撮らなきゃ”みたいな気分から解放されて、自分の目でゆっくり見られるかも」とか思いましたが全然逆で「ここ、撮りたかった」と思ってばかりで、全然楽しめなかったのを覚えています。写真は”とりあえず撮っておけ”レベルの私でも、です。サミーさんなら苦しくてのた打ち回るかもしれませんね。おっしゃるとおり、呼ばれてなかったのでしょう。次回に期待してます!
Posted by ぴお - URL 2010.03.07,Sun 21:39:26 / Edit
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