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sometime,somewhere...
Posted by sammy - 2009.02.22,Sun

アプサラダンスを習う孤児院の女の子たち

そもそも僕がカンボジアへ何度も足を運ぶきっかけになったのは、初めてのカンボジアで偶然にも関わりを持つことになったスナダイ・クマエ孤児院の存在がある。

今回の訪問でも手打ち蕎麦のご馳走をすることになったが、ことの始まりは宿泊先のGHで知り合った年輩の支援者から旧正月のお祝いに子供たちにラーメンを作ってご馳走するという企画に賛同してお邪魔させてもらったのがちょうど6年前。
その後は中々自分ひとりで思い立つことができずにいたが2年前、やっと機が熟したのか自ら計画実行のソーメン作りを4年ぶり2度目の訪問で敢行し去年再び、今度はカンボジアのお正月にあたる4月13日になぜか日本の大晦日をミックスさせた(?)年越し蕎麦を振る舞い、全員とはいかないまでも子供たちの顔や名前もおぼろげに分かるようになってきた。
そうなると自ずと「関わりを持つ存在」であるスナダイの子供たちのことが「気になる存在」へとなってくる。

今回のカンボジア行きを決断させたのもそういった「気になる存在」が大きかったし、その存在がどうなっているか、およそ1年ぶりとなる再会が大きな楽しみでもあった。

* * *

到着翌日、さっそくスナダイへお邪魔をしてみた。
迎えてくれたのは去年8月の高校卒業と同時に孤児院でスタッフとして働くヒーアだった。
彼は卒業時に日本語力を活かしてNGOで働き、社会貢献をしたいという将来的な希望を持っていたことから運営者の博子さんに勧められ、彼自身も興味を示したことで昨年9月1日からスタッフへと立場を替えて働いている。
それまでの「スナダイは?」というとクメール語か英語しか話せないローカル・スタッフばかりだったから、日本語の疎通も出来、子供たちのよきお兄さん的存在だったヒーアがスタッフとして働いてくれることは「カンボジア人の手によって」というスナダイの理想に一歩近づいたことにもなり、彼には大きな期待がかけられている。

IMG_0487.JPG
2年前、まだ高校生だったヒーア

「その仕事ぶりやいかに?」と社会人的な興味も少々併せ持って訪ねてみたが、この最初の日の訪問目的であった「手打ち蕎麦を延ばすために必要な板」探しに彼は実直に対応してくれた。
日本人の僕からすれば、日本語が極々普通に通じるヒーアがスタッフとしていてくれることは心強い。
ただし、甘やかしは禁物でもある。

子供らが洗濯をしている横の細い水路に無造作に落ちていた空袋がたまたま目に入り、ヒーアに「こういうものは空になった時点でゴミ箱に捨てるなり、横に一旦片付けておいてからちゃんとゴミ箱に捨てる癖をつけさせたほうがいい」と指摘すると、その場所に再び気が付いた数分後には空袋はなくなっていた。
「中々やるなぁ」とこちらがニンマリである。

* * *

このヒーアに続いて今年の8月に卒業予定なのがソチアくんだ。
僕は初めて訪問した2003年の時の子供たちの記憶がほとんどないから、僕の中での子供たちとの記憶は2年前、2度目の訪問の時からになる。
このときすでにソチアくんは他の誰よりも日本語が堪能で年少者の自己紹介の通訳をしてくれたり、その学習能力の高さには度肝を抜かされた記憶が強く残っている。
その彼の将来の夢は「日本語教師になること」で、その夢は今も続いている。
聞けば先日、カンボジアで行われた日本語能力検定試験の1級に挑戦し、2月22日にその結果が発表されるらしい。
なんでも1級合格には漢字2000字もの能力が必要らしく、もしも合格すればカンボジア初の1級合格者にもなる。

そんなソチアくんは「日本語教師になる」将来の夢について悩んでいた。
そうとは知らずに「社会へ出て嫌な思いをするのも勉強のうちだよ」などと就職の門戸を広げるかのようなアドバイスを軽々しくしてしまったが、後で知ったことに彼は卒業後も日本語教師としてスナダイへ残ってほしい依頼もすでに受けていた。
彼自身はそのことと、他で働く自分との想像で悩んでいたから僕からのアドバイスにも理解を示してくれたが余計なおせっかいだった。

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去年4月、クメール・ニューイヤーのピクニックで西バライへ行った時のソチアくん(右から二人目)

そんなおせっかいが自分自身でも気がかりだった。

僕がバンコクへと戻る前日、最後と思って夕暮れ前にスナダイへ自転車で遊びに行くと玄関で「ただいま~」と言ってソチアくんも同じく自転車で帰ってきた。
孤児院の子供としてソチアくんから帰宅の挨拶を、それも日本風に「ただいま~」と受けるのはこれが最後になるのは間違いない。

ソチアくんとはその後の短い時間であらためて進路に関する簡単な話をした。
卒業後の進路は最終的には彼自身が決めることだが、彼は誰よりもスナダイへの恩を強く感じているし、責任感だって人一倍強い。何もかもこなせるタイプの人間ゆえに希望するよき方向へと進路を向けてくれると思う。
その結果やいかに?
遠く日本から見守りたい。

* * *

このソチアくんに続いて来年の夏にはケインちゃんやパナーくんが卒業をする。

ケインちゃんは去年4月、孤児院のピクニックで西バライへ行った時には将来の夢を「スターだよね」と周囲に言われて笑っていたが、今現在は「日本の会社で働くか日本料理のコックさんになりたい」らしい。
特に日本料理のコックさんへの思いは強いようで、手打ち蕎麦を作る時も積極的に参加をしていた。
ほんわかとしたおとなしい性格ゆえにコックさんとは一見結びつきそうもないが、芯は強そうだし、しっかりとしているから腕を磨けば美味しい料理を作ってくれるに違いない。

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高校の制服姿のケインちゃん

そんなケインちゃんには最後の日、僕から「もしもコックさんになったら、カツ丼をご馳走する」約束をした。
カツ丼というのはケインちゃんも慕うアセアン(孤児院の子供らとも親しかったチェンラGHの元バイタクであり、元ガイド)が好物だったことから、それに引っ掛けて出た料理の名前だったが、ケインちゃんはまだ、このカツ丼という食べ物を知らない。
確かに、孤児院の食費予算では中々食べられる代物ではないのかもしれない。
はたして、そのカツ丼をご馳走できる日は来るのだろうか?
仮にこの先、夢が他へ転がってもケインちゃんにはいつか、就職記念に美味しい日本食をご馳走するつもりだ。そんな夢も持っていてもらいたいから。

* * *

パナーくんとはこの旅の最中、思わぬ場所ですれ違った。
滞在5日目にあたる月曜日のお昼、シェムリアップ川沿いにある「モロッポ・カフェ」で昼食中に目の前を午前の授業を終えてスナダイへ帰宅するパナーくんが自転車を漕いで走っていったのだ。
もちろん、こちらの存在に気づいて「ニヤッ」と笑顔を向けて。

そのパナーくんの夢は日本語ガイドだ。
個人で旅する僕のような旅行者にガイドの資質や基準などを計る術もないが、最終日に遺跡めぐりをして目の当たりにした数々の日本語ガイドは誰も、ただ単に日本語が堪能で説明が出来るだけではなく、お客さんに対して常に気の利いた接し方をしていた。
そんな姿を見るとどうしてもパナーくんのことが思い浮かぶ。
「大丈夫か??」。

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夕暮れ時、黙々と洗濯をしていたパナーくん

最後の日、僕がソチアくんと話す後方でパナーくんは黙々と洗濯に精を出していた。
「お~いパナー、今日遺跡へ行ってたくさんガイドさん見てきたけどガイドになるのは大変だぞ!」。
そう声をかけると、ゴシゴシと衣服を洗うパナーくんが持ち前の明るさでニコニコと笑う。
「でもほら、最初は誰だってちゃんとできないから。なってから頑張れや」。
パナーくんは再び笑顔を見せて分かったと応えてくれた。

パナーくんの日本語力からすればガイドになる試験は勉強すれば受かると思う。
ただ、どんな仕事でもそうだが人と接する仕事はとりわけ、なってからが大変である。
幸か不幸かパナーくんはスナダイへ身をおいたことによって多くの人たち、特に日本人と接する機会に恵まれてきた。
パナーくんの明るい性格だったら慣れれば気の利いた良いガイドになると思う。そうしたら1度はガイド付きで遺跡も周ってみたいものだ。
こちらのあまりの無頓知ぶりに「××さん、いったい何度カンボジアへ来ているの?」と笑われそうだが…。

* * *

6年前、ひょんなことから始まった孤児院との付き合いだが、こうして何度か訪問するうちに顔も名前も覚えかけ、いつの間にやら子供たちの将来も楽しみになってきた。

そんなこんなもあってこの旅ではほとんど毎日のように孤児院へはお邪魔させていただいた。
その都度対応してくれたヒーアをはじめとするスタッフたち、適当にかまってくれた子供たち、そして運営者の博子さん。
この場を借りて「ありがとう」とお礼を言いたい。

日本をはじめ世界は今、未曾有の不況で将来への夢や希望を持てない大人が溢れかえっている中、カンボジアというまだまだ発展途上の国で将来の自立を目指す子供たちの夢は少なからず自分自身への叱咤激励にもなった。
負けていられないなと。
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Comments
>wakyさん

なんだか励ましのメッセージをいただいたようで(笑)、こちらこそネットって「いいもんだなぁ」って思いますよ。

子供たちは未来へ向けて努力をしていますよ。
孤児院という環境の中で育っているのである種、難しく見てしまう部分もあるかと思いますが、僕がいつも実際にお邪魔して感じるのは一つ屋根の下の大家族みたいなアットホームな雰囲気です。
みんなとっても仲がいいんですよ。
お互いが助け合って生きていますしね。
だからいつもこうして訪問するのは楽しみです。

wakyさんもいつか行ってやってくださいよ。
あのデコボコだらけでどうしようもなかった陸路の道も今はすっかり平たくなっていますよ!

Posted by サミー - URL 2009.03.04,Wed 13:40:09 / Edit
素敵ですね。

"孤児院の子供達"というところから、ヒーア君、ソチア君、ケインちゃん、パナー君・・と(他にもたくさんでしょうが)、子供達それぞれが個人として際立ってきていて。

サミーさんは、やっぱりしっかりカンボジアと繋がっているんですねえ。。

我々日本も含めて、世界中は確かに先の見えない不安感に包まれていますが、カンボジアをはじめアジア地域は、"これから"を感じることができるだけ、先が明るいような気がするんですよね~。

来年も行けますよ。これからずっと見守っていけると思います。

サミーさんを通じて、こうして我々も知る事ができるのですから、いいですねえ。ネットって!(←ヘンな結び。。
Posted by waky - URL 2009.03.03,Tue 23:34:38 / Edit
>さきぞうさん

残念ながらソチアくんの1級試験は不合格だったようです。が、この試験、1級ともなると日本人からしても厳しい内容の試験だということですしそれにチャレンジした努力を褒めてやりたいです。
そして、再びのチャレンジにも期待したいですね。

自分は少額出資の支援者ですけど、ささやかな支援の蓄積から子供たちの将来が拓けることに楽しみを感じます。そしていつかは自立した社会を構築できればなと思うんですけどね。
Posted by サミー - URL 2009.02.24,Tue 00:29:14 / Edit
カンボジアの子供たちの将来楽しみですね。こちらが励まされます。私も頑張らねば。また、近況をブログで教えていただきたいです。
Posted by さきぞう - 2009.02.23,Mon 21:49:56 / Edit
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