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sometime,somewhere...
Posted by - 2026.03.28,Sat
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Posted by sammy - 2012.03.07,Wed
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チャウンター・ビーチのアイドル、ひかるちゃん / Chaungtha, MYANMAR


チャウンターは人口5000人ほどの小さな海辺の村だが、この小さな村にも日本人が住んでいた。
存在は出発前のネットでの様々な下調べで知り、住んでいるのはミャンマー人と結婚した女性で、テレビでもたまに放送する「世界の果ての日本人」なる特番にも出演したらしい。
あいにく僕はその回の放送を見落としていたが、せっかく自分もこの「世界の果て」へ来たならば、日本語でここでの暮らしやらいろいろな話を直接聞いてみたかった。

そのネットで調べた情報では女性はまだ若く、幼い娘もいるらしい。
僕の泊まっていた「シュエ・ヒンター・ホテル」で働いていると言う記述も目にすれば、ゲストハウスをやっていると言う情報もあった。
いずれもが乏しい情報であったことからホテルのフロントで「この村に日本人が住んでいると聞いたけど」と尋ねてみると、「あ、チセイのことね」と言ってその場で電話をつないでくれた。
電話に出た女性は確かに日本人で「アラヤと申します」と紹介をしてくれた。
アポも何もない唐突な電話だったから簡単に経緯を話し、今日はもう日も暮れているから明日の朝9時半にホテルでお会いしましょうという話になった。
後で分かった話しだが、彼女がこのホテルで働いていると言う話は間違いで、このホテルへは毎日のように遊びに来るためスタッフや経営者と親しく、ここへ泊まる日本人とも交流があるらしい。
そして、ゲストハウスをやっていると言う話は以前のことで、今はそのゲストハウスを売りに出す最中、その間はゲストハウスの経営も貸出し中だった。


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千星さんとひかるちゃん / Chaungtha, MYANMAR


翌朝、ビーチにせり出たホテルのバルコニーで朝食を終えて読書をしているとアラヤさんは幼い娘と一緒にやって来た。
極々普通と言ったら失礼だが、この「世界の果て」で暮らす日本人女性は特に変わった方でもない普通の女性で、タイムマシーンにでも乗った気分でこの地へやって来た僕からしてみれば、それが不思議でもあった。

女性の名前は荒谷千星さんで30歳。
5年前に結婚を機にこの地で暮らすようになり、今はミャンマー人の旦那と4歳になる娘のひかるちゃんとの3人で暮らしている。あいにく旦那さんはこの10日ほどヤンゴンへ出張中で不在だったが、この日は娘のひかるちゃんも風邪をこじらせて幼稚園を休ませたという名目(?)で連れ立って来てくれた。
そのひかるちゃん。
とにかく愛嬌があってかわいい。
初対面で「なまえは?」と訊くと、両頬に人差し指をあてて「ひかるちゃんで~す」と笑って答えた。
これでもう、ひかるちゃんからのつかみはこのオジサン旅人に対して完全にOKだった。
天真爛漫で4歳にして日本語とビルマ語が理解できるバイリンガル。
ホテルのスタッフらにも「ひかる、ひかる」と可愛がられていて、日本人の宿泊客にも人見知りすることなく愛嬌を振りまけるからすぐに愛されてしまう。
そんな特異(?)な性格のひかるちゃんは専ら、みんなのアイドル的な存在であり、それはさながらチャウンター・ビーチのアイドルと呼ぶに相応しい人気とふるまい(?)だった。

滞在中はこのアイドルに会うのが楽しみだった。
千星さんからもその交流の中からさまざまな話やアドバイス、さらにはガイドを雇っての村訪問の際にはバイクをお借りしたり、滞在を楽しむには十分なほどのお世話もいただいた。


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愛くるしい笑顔のひかるちゃん / Chaungtha, MYANMAR


最後の夜、浜辺ではサッカー大会で宿泊中のグループやその家族らが焚き火をし、さらにはバンド演奏までが特設のステージで始まり、踊り酔い騒いでいた。
そんな大人たちの喧騒を尻目にひかるちゃんは「つまらないの」と言っている。
「だって、ひかるちゃんの家、もうすぐ電気が来なくなっちゃう。あ、今日はここで寝るのかなぁ…」
ホテルなどは夜6時から半日だけ電気が使えるが、住民たちが暮らす村は夜9時半ごろにはその電気も切れてしまうらしい。ひかるちゃんはずっと、それを心配していた。
それでもアイドルは大人たちの人気者だから、その後に始まったダンス・ミュージックではステージの前へ担ぎ出されて肩車の上で手拍子をしていた。
その直後疲れたのか、ひかるちゃんは仲良くなったサッカー選手の姉に介抱されて浜辺に置かれた毛布の中でスヤスヤと眠りについた。
これが僕とチャウンター・ビーチのアイドルとのお別れだった。


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夜の浜辺で大人たちとダンスを楽しむひかるちゃん / Chaungtha, MYANMAR


翌日は午前10時発のバスでヤンゴンへと帰る僕を、いつものようにホテルへやって来た千星さんが見送ってくれた。
今日はひかるちゃんはちゃんと幼稚園へ登園したらしい。

千星さんがこうして日本からやって来る人たちと会うのが楽しみなように、ひかるちゃんも楽しみで仕方ないらしい。ただ、4歳児の記憶で、日本からやって来た旅人と遊んだ記憶は残らないだろう。
そう思うとちょっぴり寂しいけれど、僕にはこの最果ての地へやって来るリピーターたちの気持ちが少し分かるようになった。
僕もいつか、チャウンター・ビーチのアイドルと再会を果たしにこの地へやって来たい…。

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Posted by sammy - 2012.03.05,Mon

People / Yangon, MYANMAR


35番通り行き止まりの路地に佇んでいた人々。剥がれたビル壁に漂う哀愁…。


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more photograph to flicker

Posted by sammy - 2012.03.04,Sun
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途中停車した村の子どもたち / Pathein-Chaungtha, MYANMAR


ヤンゴンに2泊した後、ベンガル湾に面したビーチ・リゾート、チャウンターへと向かった。
ヤンゴンからのバス・チケットはダウンタウンから徒歩圏内にあるアウンサン・スタジアムに併設された各社のオフィスで購入が出来るため、スケジュール調べも兼ねて前日のうちに出向いたが、チャウンター行きの直行バスは夜9時半発の夜行と朝6時発の2本しか運行されていない。
そのいずれもが市内西にあるダゴン・バスターミナル発で、そこまではダウンタウンからタクシーで約1時間かかると言う。
早起きするのも車内で夜を過ごすのも嫌だったから結局、直行バスを選ばずにチャウンター手前のパティンまで行く朝8時発のバス・チケットを買い、そこから先は「そのままパティンで1泊してもいいし、その日のうちに乗り継げればチャウンターまで行けばいいし」と、どっちつかずの選択に身を任せることにした。

* * *

朝8時発のパティン行きバスはダウンタウンからタクシーで20分ほどの場所にあるパーラミンというバス・ターミナルから出発する。
バスはもちろん、日本からの払い下げ。すでに日本では現役を終えたバスではあるけれど、ヤンゴンからの長距離バスはそれ相応に快適を求められる。
パティンには午後1時過ぎに着き、そのまま流れに沿って街外れにあるバス・ターミナルからピックアップのトラックの荷台席に乗り、中心部へと移動する。
チャウンター行きバス乗り場は中心部のはずれにあり、そこまではこのピックアップで送ってくれた。
その時、時刻は午後1時40分。
はたして、チャウンター行きのバスはあるのかと思ったら、路上にそのまま停車しているオンボロの小さなボンネット・バスが午後2時発のチャウンター行きだった。
さすがに、「えっ、これに乗るの?!」と驚くほどそのバスは古く、すでに人や荷物でギッシリと詰まっていたが、外国人の僕は料金も違うことから運転席横に備えられた1席のみの特等席を与えられた。


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迫力あり過ぎ(?)の前方景色 / Pathein-Chaungtha, MYANMAR


それにしても、ボロ過ぎるほどボロいバスだったが子どもの頃に1度だけ、田舎にあるおばあちゃんの実家へ行く時に同じような古いボンネット・バスには乗った記憶がある。このバスも日本製。それもおそらくは自分が生まれる前から活躍していただろう年代物には違いない。
これはまさに、タイムマシーンに乗った気分でもあった。
パティンからチャウンターまでは距離にすれば40kmに満たない距離だが、途中には小さな村がいくつかあるだけで、ただひたすらと勾配の続く山道をゆっくりと走る。そこに映るものに近代的なものは無縁だったことも、その気にさせた。

さらには僕の左横はドアだったが、すでにドアと言うものの存在はなく、そこには乗務員の男2人が手すりに縋り付くかのように乗車していた。
そして驚くことに彼らは出発時には数枚の郵便物を握り締め、さらには途中で沿道の青年から郵便物と料金代わりの紙幣を預かる役目も担っていた。要は、郵便輸送も兼ねていたことになる。


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乗務員の男2人 / Pathein-Chaungtha, MYANMAR


こんなオンボロバスに揺られて2時間半。
西日が傾いた頃、ついにベンガル湾に面した行き止まりの町チャウンターへと着いた。
国土が広大なビルマで、ここが最果てと呼ぶに相応しいか疑問だが、ここから先に陸路は無く、ベンガル湾と言う言葉の響きが旅情を少しばかりくすぐったのは事実である。
そしてこの町は、電気の供給が午後6時から午前6時までの半日しかない希少な(?)リゾート地でもあった。
あのオンボロバスはやはり、タイムマシーンだったのかもしれない?
そう思えるようなこの素朴な海辺のリゾートで、僕は4日間過ごすことになる。


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夕日が眩しいチャウンター・ビーチ夕景 / Chaungtha, MYANMAR