sometime,somewhere...
Posted by sammy - 2017.02.26,Sun
child / Bangkok, THAI
猿岩石がユーラシア大陸をヒッチハイクで横断し、その原案となった小説「深夜特急」に感化されるかのように旅に出たのが20年前の2月、1997年だった。
バックパックを担いで、当時2番目に安かった成田正午発のエア・インディア便に乗ってタイ・バンコクのドンムアン空港に夕方到着し、同じように初めてタイへ来たという心細かった面々とタクシーをシェアしてカオサン・ロードへ向かい、その面々と「ついでだから」と降りた場所にあった安食堂で夕飯を共にし、「じゃあ!」と別れて向かった先はカオサンから少し離れた場所にあったユースホステルだった。
その2日後くらいにはユースホステルを出てカオサンで宿探しをし、マルコポーロという名の安宿に泊まり、そこが1泊250バーツくらいだったが窓も無い収容所みたいな部屋だったことから、たまたま部屋を見せてもらった、当時カオサンにしては珍しいプチ・リッチな安宿D&Dへ翌日には移った。
khaosan road / Bangkok, THAI
sleeping owner / Bangkok, THAI
この前年、初めての海外旅行でニュージーランドへ行ったが、「僕には(海外旅行は)向かないな」という気持ちがこの時は強く残った。
面白い出会いも無かったし、刺激としては少なかったからかもしれない。
それが、この旅では違った。
まず、会う奴会う奴みんな面白いのである。
それはきっと、初めてこうしてタイのような途上国へやって来て、物価は安いけれど値段をふっかけてくるタイ人との戦いが面白かったり、彼ら彼女らが妙に人懐っこく物事を気にしない大らかな「マイペンライ」な人たちであったこと。そして、とにかく暑かったからタイ人たちも暑さに逆らうことなくダラダラと屈していたし、旅人も皆それらに倣っていたからかもしれない。
run / Bangkok, THAI
a boy in the river / Bangkok, THAI
とにかく、初めてこの地へやって来た僕は飛びこんでくるすべての刺激が楽しく、それは日を追うごとに増していった。
例えば、当時は街中を走るスカイトレインもなかったから移動はバス、タクシー、トゥクトゥクだったがバスを使った場合、タイ語を話せないからどこで降りればいいのか尋ねるには英語を使うしかない。これが、学生とか身なりのいい人たちには比較的通じることがわかった。
ある晩、オカマのショーを見に行き、深夜のバス停でカオサン方面行きのバスを待ったがいつまでも来ない。
同じバス停で待つ面々を見渡すと身なりのいい感じの女性が一人いた。
彼女に尋ねると僕のガイドブックを広げ、バス停が間違っていないかなど調べてくれた。そこから話が弾み、日本人のボーイフレンドがいると言ってバッグから写真を取り出して見せてくれたが、一緒に持っていた写真がオカマのショーに使うポートレート写真だったことから「アレ???」となった。
彼女は彼だったわけで、今ならばそんなことにすぐに気づくかもしれないが、初めて行ったタイでは見事に気づかなかった。
出会う旅人皆が同じような体験談やら何かしらのエピソードを旅行中に作り、そんな話を日本人が出会うような場所、食堂だったり宿のロビーだったり、旅行会社の小さなオフィスだったり道中だったり、みんなでワイワイ話すことも楽しかった。
shop / Bangkok, THAI
seller / Bangkok, THAI
thai people / Bangkok, THAI
こんな日々が続くと、いっそのことこのままバンコクに沈没してしまいたかったが「深夜特急」の旅は移動でもある。
僕は陸路で国境を越えるというのがやってみたく、列車で国境を越えてマレーシアのペナン島へ行くことに決めていた。
ところがその移動の前日、バンコクのファランポーン駅へ国際列車の寝台切符を買いに行ったら売り切れだと言う。日程が旧正月と重なっていたからだ。
仕方なく肩を落としていると駅構内ですぐに声をかけられた。
「切符ならあるから、オレにまかせろ」と言ってその男に駅近くの旅行会社へ案内された。
男は往復分の切符を用意出来るといったが、行きはバスしか切符がなく、帰りはペナンからバンコクまで列車で用意できるといった。
「これだったらいいだろう。ノープロブレムだ」と言ってゴージャスなバスの写真、日本人の体験談が書かれた手紙などを見せてくれた。
「ま、いいか」と納得して明日夕方5時、バスターミナルまでの迎えがここから出発することとなった。
この後わかったことは、この旅行会社はこうして駅で切符を買えなかった人を見つけては声をかけ、定価よりもかなり高い値段で長距離バスや列車の切符を売りつける業者だったということである。
それはこの先の旅の道中、同じように他で騙されて乗車していた日本人から確かめた。
そんなことも含め、この初めてのアジアは楽しかった。
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Comments
>Tomoさん
90年代後半のカオサンって今から遡って思い返すと勢いがあったなと思います。いろんな人に出会えた時代でしたね。
何もかもがデジタルになった今、そういったアナログ時代の良さは消えてしまったかもしれません。
自分も戻りたいと思ったり、思わなかったりです。
90年代後半のカオサンって今から遡って思い返すと勢いがあったなと思います。いろんな人に出会えた時代でしたね。
何もかもがデジタルになった今、そういったアナログ時代の良さは消えてしまったかもしれません。
自分も戻りたいと思ったり、思わなかったりです。
懐かしいですねー。私もやっぱりタイのカオサンがひとり旅の原点で、いろいろな想いでがよみがえります。今あそこで出会った人たちは、どうしているんだろうかー。みんな、相変わらず、旅人してるのかなあー。また戻りたいと思ったり、思わなかったり…。
>g00dayさん
同感ですね(笑)。
この前年の初海外NZでは全くフィットしなかったのに、ここからは見事にハマりました。
「あれから20年か…」と思うと自分自身で感慨深いものがあって、押し入れに閉まったままのネガフィルムを取り出してスキャナーで再現した当時の写真がこれらです。
せっかくの海外旅行だったからカラー・フィルム主体で撮っていたと思いますけど、フィルムをモノクロに入れ替えた時には日常の切り取りを意識して撮っていたので、表現が今の自分が撮っているものに近い撮り方をしていると思います。ただ、大半の写真は撮った時の記憶がないですけどね(笑)。
同感ですね(笑)。
この前年の初海外NZでは全くフィットしなかったのに、ここからは見事にハマりました。
「あれから20年か…」と思うと自分自身で感慨深いものがあって、押し入れに閉まったままのネガフィルムを取り出してスキャナーで再現した当時の写真がこれらです。
せっかくの海外旅行だったからカラー・フィルム主体で撮っていたと思いますけど、フィルムをモノクロに入れ替えた時には日常の切り取りを意識して撮っていたので、表現が今の自分が撮っているものに近い撮り方をしていると思います。ただ、大半の写真は撮った時の記憶がないですけどね(笑)。
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