銀色に輝く朝の石畳
翌朝、目が覚めると体がだるかった。
それでも、静かな町の佇まいを散策しようと周辺を歩いてみたがダルさは抜けず、加えて食欲も起こらなかった。
「昨日のバス酔いの疲れが抜け切れないのか?」。
トリニダーは今日1日散策して明日朝のバスで再びハバナへ戻るつもりでいたが、日程に余裕がないわけでもなかったのでもう1日ここでの滞在を延ばし、ダルさの抜けない今日1日はゆっくりと休む選択をした。
すでに予約をしてあったハバナの「セルジオの宿」へはカサの奥さん、マリーを通じて3泊から2泊への変更の電話を入れてもらい、パンをかじる程度の朝食を無理矢理お腹へ詰め込んだ後は正露丸を飲んでベッドに再び横になった。
それまでの旅の疲れもあったのか、日中でもこれでもかとばかりに眠れたが体のだるさはいっこうに抜けず、嘔吐も止まらない。
夕方前、あまりに退屈だったことからKくんの泊まるカサへ遊びに行ったがダルさと嘔吐は収まらず、マリーの勧めもあって町中にあるインターナショナル病院へ診察に行ってみることにした。
病院へはスペイン語も話せるKくんが同行してくれた。
幸い、体温は微熱程度だったが嘔吐が続いたことから注射を打ち、2種類の薬と胃腸に優しいと言う水に溶かすココナッツ・パウダーを用意してくれた。
キューバの医療については先進国並みの水準や、国民全てが無料で診察を受けられるなど広く知れ渡っているが、実際にこうしてトリニダーのような小さな町でも24時間いつでも誰でもが診察を受けられる体制が整っていると言うことは、革命の成果として大きく評価される部分だと思う。
もちろん、外国人である僕の診察費は薬代と併せて75ペソ(約8000円)の請求があったが、このお金は後日、クレジット・カードに含まれた海外旅行保険で往復のタクシー代と併せて支払いがおりた。
そして、翌日には嘔吐もすっかり収まり、体調も回復した。
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