パスタをほおばるカサの息子、ホリヒート(左)とガブリエル(右)
トリニダーのカサ・パティキュラル「Hoatal: Media luna」に泊まった最初の晩、大の野球好きを自負する旦那のホルヘが「今日はキューバの№1チームを決めるキューバ・シリーズの第5戦のテレビ放送がある」と教えてくれた。
試合開始は午後8時。
ハバナとサンタ・クララの対戦による今日の試合はすでに3勝しているハバナが勝てば優勝が決まる大一番らしく、ホルヘはすでに試合開始を待ちきれない興奮状態だった。
キューバへ来てつくづく思う。
この国の人たちは本当に野球が好きだ。
もちろん僕も野球は大好きだ。
だから街で「ハポン(日本人)?」と声をかけられると、「Yes!イチロー!」と右手でバットを立てたイチロー得意のポーズを見せてみる。
するとたいてい、「OH!イチロー、マツザカ」と日本が誇る投打の両輪の名前が出てくる。
ここまでは誰しもが知っている範囲での認知度だが、カサの旦那ホルヘは正真正銘の野球通らしく、「ジョージマ、イワクマ…」と次から次へと日本人選手の名前が出てくる。
何でも、3月に行われたWBCではずいぶんと熱狂したらしく、苦汁を舐めた悔しさが日本人選手を絶賛する賞賛へと変わったようである。
* * *
バス酔いの疲れも収まり、カサのリビングでホルヘと野球中継を見ていると近くに泊まっていたKくんもひょっこり顔を覗かせ、お互いに野球中継を見入った。
日本で言えば秋に日本一をかけて行われる日本シリーズに相当するキューバ・シリーズでも、テレビの音声は実況ばかりが聴こえ、臨場感にやや欠ける中継だ。
生の盛り上がりみたいなものは画面からも伝わってこない。
競争のない社会は視聴者を釘付けにするような工夫や構成さえも関係ないのかもしれない。
イニングの合間には宣伝(CM)ではなく、「クーラーの温度設定を下げよう」などの公共広告が何度となく流れていた。まさに社会主義である。
しかし、スポーツと政治は違う。
今日にも優勝が決まってしまう大事な対戦はバントあり、スチールありと勝ちにこだわった戦いをしていた。
それでも悲しいかな。
ここ2大会、WBCで日本がキューバに勝っていることもあり、野球大国キューバの戦いをかつてのような大きさで見ることはなかった。どこか雑で単調な戦い方にも見えてしまう。
そして試合はハバナが勝ち、歓喜の輪が中継で流れていたが、旦那のホルヘは試合の大勢が決まりかけた頃には早々とテレビの前から退散していた。
あきらめや見極めが早くとことん問い詰めないのもキューバ人の特徴かもしれない。
キューバへ行くと日本人は当たり前のように「チーノ、チーノ」と声をかけられますが、ラテンアメリカ特有の差別用語でもある「チーノ」よりかは「イチロー、マツザカ」の方がいいですよね(笑)。
>負けても相手の事を褒め、自分達の力が及ばなかったと認めている所は器の大きさを感じさせます。
キューバの人はなんというか「淡白」かもしれないです。
事実、WBCでの対戦でも城島のリードの術中にはまってからはアッサリと負けてしまいましたし、そういうところがラテン系といえばそう思えるし。
親しみやすい人種であることは確かです(笑)。
自国民の選手がはるか彼方の異国の子供たちに受け入れられていて素直に嬉しかったです。
>苦汁を舐めた悔しさが日本人選手を絶賛する賞賛へと変わったようである。
これは素晴らしい事だと思います。負けても相手の事を褒め、自分達の力が及ばなかったと認めている所は器の大きさを感じさせます。
負けて嫌味や負け惜しみばかり言うどこかの国とは大違いですね。
スポーツと政治は分けて考えるのは当然だと思います。
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