sometime,somewhere...
Posted by sammy - 2009.04.19,Sun
澄み渡ったカトマンズの空
桜がつぼみを開き始めた今月始め、京都へ1泊2日の小旅行へでかけました。
旅の名目としては、「桜」、「18切符」、「たまたま連休」でしたが、それらよりも何よりも「京都へ行こう」と思った動機には昨秋行ったネパールでのつながりがあります。
それは、よくある旅先での偶然に偶然が重なる出会いから始まったものです。
* * *
駆け足だった僕のネパールの旅は9月末の金曜日にカトマンズへ到着し、そのままパタン~ポカラ~カトマンズと周る1週間の旅でした。
ポカラにはネパール到着翌日の土曜午後のフライトで行き、日、月と過ごして火曜日にはカトマンズへ向かう強行軍の日程を立てたものの、3日目にあたる月曜日の天気はあいにくの雨模様。
まだ雨が降り出さない早朝こそサランコットの丘へ行ったものの、夜が明けてもお目当てのヒマラヤは見えずじまい。
下山途中に立ち寄ったホテルのオーナーで、この朝のツアーのガイドも同伴してくれたダカールの実家に着いたあたりから雨は降り出し、晴れる気配のないこの1日の空模様に僕の気持ちは動きます。
実はこの時点で翌日の移動をバスにするか、飛行機にするかはっきりと決めておらず、おおよそ気持ちはバス移動で決めていたもののチケットは購入前だったこともあり、頭に浮かんだのはこの何をするのか迷ってしまう空模様になってしまった今日、今からの移動です。
サランコットの丘の中腹から見える景色も雨…
ホテルへ戻って一休みした午前10時、無礼を承知で今日1日のホテルのキャンセル、そして今からでも間に合う航空便のチケットの相談をすると、思わぬことにオーナーのダカールはOKの返事をくれました。
こういったところがネパール人のおおらかさです。
その恩恵に授かり、急遽購入したエアチケットを手に空港へ、そして昼過ぎには予定を1日繰り上げる形でカトマンズへと到着したわけです。
まずは宿探しということで空港から乗ったタクシーにタメルの中心地、タメル・チョークへ向かうように行き先を告げます。とりあえず、そこで降りてから歩いて宿探しをする思惑です。
ツーリスト向けの看板がひしめく雑踏のタメル
この時点で傘をささずにすみそうだった雨は空港からタメルへ向かう数分の間に豹変し、やがて土砂降りの雨へと変わります。
この時僕は初めてのカトマンズ、そしてタメルでしたが、宿の看板や食堂、旅行会社らの看板が目立ち始めるタメルらしき地区へと入った頃には水はけの悪い道路わきは洪水のように雨水が流れ、激しく降る雨は傘をさしたとしてもとても宿探しを出来るような状況ではありません。
お腹も空いたしトイレへも行きたい。
まずはタクシーを降りて宿探しから一転、遅い昼食と雨宿りをするために車内でガイドブックを慌てて広げ、タメル中心の通り沿いにある日本食レストラン「桃太郎」をその場所に選び、そこで降ろしてもらえるように行き先変更を指示します。
そして飛び込むように入った「桃太郎」。
案内された奥の座敷で談笑していたのはネパールで幅広い活動をなされている京都のY夫婦ことパパとママ、大阪の元高校教師Tさんこと先生、そして彼らのNPOのスタッフも勤める日本語ペラペラのネパール人、プラカスでした。
「桃太郎」ポカラ店オープン準備のためポカラへ向かうパパとママ、そして右端が桃太郎オーナー
プラカスこそ年齢は40手前だったもののパパとママ、そして先生もいわゆる団塊の世代。そして、関西人そのものの明るくテンションの高い会話にのせられて、この突然の雨宿りは楽しいひと時を過ごします。
そして、この時の縁で僕はその翌日、プラカスのバイク案内でカトマンズ郊外のブングマティやキルティプルといった村を訪れたり、彼が教える日本語教室へ遊びに行ったり、パパとママには彼らの定宿「ノルブリンカ・ホテル」を格安で紹介してもらったり、先生には最終日の夜、美味しいネパール料理をご馳走になったり、わずか3日半だけの滞在ながらカトマンズでの楽しい思い出をいただきます。
まさに、土砂降りの雨の恩恵です。
さらに、この土砂降りの雨は僕にもうひとつの思わぬ出会い、いや、再会をもたらします。
雨が小雨になりだした頃、「桃太郎」で食事を終えて外へ出ると偶然にもその前日、ポカラのレイクサイドで遭遇した日本人女性Aさんとバッタリ出くわします。彼女は今日のバスでポカラからカトマンズへ移動してきたばかりで、これからお目当ての宿へ向かう途中でした。
のどかな景色が続くレイクサイドの道
前日、彼女と会った場所はレイクサイドといってもそこはゲストハウスなどが建ち並ぶにぎやかな場所ではなくかなり奥まったのどかな場所で、僕は自転車、彼女はポーターらと一緒にトレッキングの帰りでした。
場所が場所だっただけに思わず遭遇した日本人と短い会話を交わしただけでその場は「じゃあ、元気で!」と別れたものの、ここカトマンズの雑踏のタメル、それも土砂降り雨の後に店から出た場所でお互いに「アッ!」と反応を見せて再会するとは。
彼女はその後2日間、共に食事をした場所でパパとママ、そして先生やプラカスとも知り合い、僕を除いた4人が関西だったこと、そしてパパとママが京都のAさんが働く近くでネパール料理店を開いていることから、「いつか食べに行きましょう」という話にもなったわけです。
そもそもはこの出会い云々以前から「秋に京都へ行きたい」願望は持っていたものの結果的に去年の秋は自分自身の都合が付かずに年を越し、巡ってきた春に「たまたまの連休」があったことから僕を京都へと、そしてネパールのカトマンズで会った皆さん方と再会できる羽目になったわけです。
* * *
パパとママのネパール料理店「マチャプチャレ」は京都駅にも近い七条京阪駅近くにあります。
仕事を終えたAさんとここで待ち合わせ、ネパールでいただいたお店のチラシを頼りに店へと向かいます。
「あっ、ここだ」と見つけた店の中には先に待っていた先生の姿が奥に見えます。
ロッジ風の店は入り口で靴を脱いでスリッパに履き替える「お邪魔式」で、京都の古風な住宅街の静かな角にありながらまるで、どこか山小屋風のゲストハウスに招かれたかのような錯覚さえ覚えます。
とにかく、木の香りにつつまれた素敵な内装、雰囲気です。
料理はすべてお任せでしたが、出てきたのはネパール料理ではなく京風の「おはんざいセット」でした。
残念ながらパパはポカラに昨年11月にオープンした「桃太郎」の切り盛りで不在でしたけどママはあの時と同じハイテンションなノリで大喜び!
ネパールの話、旅の話、プラカスの近況…。
久々の再会に話も弾み、宴は夜9時過ぎまで続きます。
思えば、この出会いは本来ならばなかったはずだったわけです。
僕が予定通り、火曜日のバスでポカラからカトマンズへ向かっていたとしたら、その火曜日にカトマンズからポカラへと向かったY夫婦とはどこかの道の途上ですれ違っていただけだろうし、プラカスに会うことも先生に会うことも、そしてAさんと再会することもなくすべてが何もなく終わっていたわけです。
そう考えると、この京都での再会、そして食事は不思議な運命の糸を感じます。
きっと、どこかでつながっていたんでしょうね。
そして、そのつながりをもたらしたものが雨、それも土砂降りの雨だったこと。
いつの旅でも巡りあえばやっかいな思いをする旅先での雨が、時として出会いや再会をもたらしてくれる「ラッキー・シチュエイション」になったこと。
思えば昨年はラオスでもそうでした。
あの土砂降りの雨、曇天で姿さえ見えなかったヒマラヤはその代わりに僕に旅のつながりを与えてくれたのかもしれない。
カトマンズから京都へとつないでくれた雨に感謝です。
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パパとママのネパールカレーとおはんざいのお店「マチャプチャレ」
営業時間:11:30~20:00
〒605-0991 京都市東山区鞘町通り正面西入る上堀詰町290ー2番地
TEL&FAX075-525-1330
http://yaokan1748.exblog.jp/
*場所は京都駅から七条通りを東に歩き、鴨川を渡って2本目の鞘町通りを左折。
最初に交差する正面通りとの角にあります。京都駅から徒歩15分。
現在は主に息子さんたちが切り盛りしています。
お近くにお越しの際にはぜひともお立ち寄りください!
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